微小量の取り扱い

微小量の取り扱いはとても大事です!

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微小量とは

微小量とはその名の通り“微小な量”のことである。物理学ではこの微小量をうまく“無視”することで、式からうまく物理的意味を引き出す。百聞は一見に如かず。まずは例を見てみよう。

を計算してみよう。これは電卓で計算してみればとなるだろう。しかし、実際に紙に書いて計算するのは少しめんどくさい。そこで次のように式を展開してみよう。

ここで0.01というのは1に比べればとても小さい量だろう。さらに、0.01の2乗や3乗はもっと小さい量は量である。そんな小さい量は思い切って“無視”してしまおう。 つまり、そんなあるかないかわからないほど小さい量は0だと思うことにしようということである。試しに0.01の2乗や3乗を無視すれば上の式は以下のようになる。

ここに現れた等号のような記号は“だいたい等しい”という意味を表わす。

ここで得られた結果は驚くべきものではないだろうか。こんな簡単な計算で小数点第4位まで正しい値に一致しているのである。

 

微小量は2次まで無視

上の例の中の0.01が微小量である。 また、微小量0.01の2乗や3乗は2次の微小量、3次の微小量とよばれている。物理学では2次以上の微小量を無視することが多い。しかし、時には3時の微小量まで取り入れることなどもあるので注意しよう。どんな場合に何時までとればよいかというのは難しい問題だが、基本的に2次以上は無視しようというのが基本である。上の例を少し一般化して下に示しておこう。

この公式は左辺を展開しての2次以上の項を無視すれば得られる。また、以下には2次以上の微小量を無視して得られる有用な関係をいくつか示しておこう。

・薄い球殻の体積

内側の球の半径がで外側の球の半径がの厚さの球殻を考えよう。この球殻の体積は外側の球の体積から内側の球の体積を引くことで求められるので以下のようになる。

 ここで厚さが小さいとして上に書いた公式を使ってみよう。すると

 が得られる。これは厚さが微小な球殻の体積は表面積と厚さの積であらわされることを示している。この公式は「力学で慣性モーメントを求める時」などに有用であろう。

 

 ・曲線の長さ

曲線の長を求める公式について考えてみましょう。例えば、図のような


関数y=f(x)を考えてみましょう。




さて、図のように曲線の一部を直線で近似してみましょう。この曲線の長さをdrとします。この長さdrは三平方の定理(ピタゴラスの定理)によってxの増加量dxとyの増加量dyを使って

と書けます。これをdxでくくると次のように変形できます。


 

これを曲線全体にわたって足し上げていくので曲線の長さlは次のようになる。




この和を積分で置き換えれば



となる。

○Sinカーブの長さ(サインカーブの長さ)
試しにy=sin(x)の一周期分の曲線の長さを求めてみよう。
dy/dx=cos(x)より曲線の長さlは



を計算することになりますが、これは解析的には行えないので、数値的に積分を行うと7.64039程度になりました。 sinカーブ一周期分の長さは7.64039程度なんですね!

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